【鎌倉研修日記 vol.12】

北海道栗山町地域おこし協力隊の土山です。

12月で関東圏内のフィールドワーク研修完了し、前回は3つのファブラボをご紹介させていただきましたが、今回は3つの施設(DMM.make AKIBA、VUILD(ヴィルド)株式会社、トロテック・レーザー・ジャパンショールーム)のレポートになります。現場に行って、感じることほど勉強になることはありませんね。

DMM.make AKIBA

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DMM.make AKIBAは富士ソフト秋葉原ビルの10Fと12Fにある。10FがFabスペースで12Fがコワーキングスペースになっている。

 DMM.makeは秋葉原に拠点を構えるメイカースペースで、2013年にハードソフトウェアのスタートアップ支援を軸にオープンしましたが、現在では様々な社内部署(地方創生、創業支援など)やスポンサー企業と連携し幅広い活動を行っています。工作機械を会員制で利用できるサービスはもちろん、企業から『社員教育の一環としてアイデア創出の方法をレクチャーしてほしい』という依頼を受ければ、その目的にカスタマイズしたアイデアソン、メイカソン、ハッカソンなどを開催しています。 

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DMM.make AKIBA 入口。床はwood調、壁面は黒板を使用している場所が多かった。店内掲示はカッティングシートで作られている。

 最近ではFabスペースをつくりたい地方行政や学校へのコンサルタント業務などが事例として多いそうです。2020年度に開校する『開志専門職大学(新潟)』内のFabスペースの立ち上げプロジェクトに関わっていて、国内ではDMM.makeに継ぐ大きさのFabスペースになるそうです。DMM.makeには現在約4000〜5000名が会員登録していて、そのうち月額会員として利用しているのは数百名ということです。

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しかし工作機械の貸し出しサービスだけでは運営は難しく、先述したFabスペースのコンサルタント業務や工作機械の販売代理、多くの会員によって生まれる『コミュニティと知見』を生かしてスポンサー契約をする企業・団体を誘致し営業しているそうです。

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機材一覧

 10Fはものづくりに特化したスペース(Studio)で、これまでに見学したFabスペースの中でも最も工作機械の数が多く整理整頓された空間でした。特に印象的だったのが機械や道具を利用者が気持ちよく使えるよう配慮していている点です。道具のディスプレイや販売用資材の管理、工作機械のメンテナンスなど参考になる事例がたくさんあり、とても勉強になりました。12Fはオフィス利用やイベント・ワークショップなどを開催できるスペース(Base)でした。

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ワークショップで作成できるプロトタイプのクオリティはかなり高い。製作時間も物によっては6時間ほどにもなるのでかなり濃い内容になっている。

これらのワークショップは所要時間が6〜7時間とかなりの長丁場ですが、かなりクオリティの高いものが作れます。スタッフのレベルもトップクラスな最先端のFabスペースだと思いました。

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コワーキングスペース。会員であればミーティングなどで自由に利用することができるスペース。

フリーアドレスで利用できるコワーキングスペースにはドリンクを提供してくれるカウンターがあり、ディスプレイにはStudioで製作されたプロトタイプが展示されていたりと、アミューズメントパークに来たようなワクワクと興奮が止まらない施設でした。『地域性』という部分では、場所やブランドから連想できる著名人(落合陽一氏など)のセミナーや、電子工作に特化したワークショップなどが数多く開催されています。

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12F コワーキングスペース入口。10FのFabスペースと違い壁面はレンガ調になっていて、ガレージを改装したカフェのような雰囲気。栗山町に作る予定の施設に一番似ていると感じた。

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VUILD(ヴィルド)株式会社

 VUILD(ビルド)はShopBot(ショップボット)というCNCミリングマシンの国内販売代理店として導入支援・事業サポートだけでなく、オーダーメイド家具を出力できるプラットフォーム『EMARF(エマーフ)』を開発しています。これらを事業の中核とし、約30名の社員がそれぞれのプロジェクトを担っています。今回はヴィルダーズ事業部の方にShopBotについてはもちろん、導入企業の事例や、そこでのコミュニティ育成についてご紹介していただきました。(デザイン事業部の方は建築士1/2級免許を取得している)

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 事務所では『PRSalpha 96-48-14』『PRSalpha 96-60-8』のShopBotを使って試作の設計や構造検証なども行なっています。『PRSalpha 96(X)-48(Y)-14(Z)』は回転軸ユニットを取り付けるため通常より『8(Z)インチ』の加工範囲にしていました。もう一方の『PRSalpha 96-60-8』はシハチバンサイズの木材を加工するために、バキューム機能を搭載していました。MDFは空気を通すため釘打ちする必要がなく材料を固定することができるそうです。

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 ヴィルダーズ事業部ではShopBotを導入検討している場所に対して、機種の選定・輸入サポート、さらに現地での組立設置、ワークショップなどによる機器研修を行っています。そしてトラブルシューティングのサポート対応を導入先に代わってShopBot本社と交渉してくれるため、安心して機器利用に専念することができると感じました。

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防音用カーテンがあるとないでは10㏈も違うという。また、粉塵がオープンスペースに侵入することも防いでくれる。出入りが扉式とは違って入りやすいのが特徴。

 VUILDは現在までに全国31拠点、39台(2019年6月時点)の導入実績があり、さらに拠点同士を結ぶプロジェクトも考えているそうです。ShopBotを使って、FabLabネットワークのようなコミュニティを形成しようという動きにとても感銘を受けました。ShopBotは木工に特化したデジタルファブリケーションですが、Adobe IllustratorやFusion360、Grasshopperなどでデータ作成ができれば誰でも家具や什器を製作できます。しかし、基礎知識として木工技術を理解することも重要だといいます。このことから、VUILDでも地域の大工さんや木工職人さんから『継手』『仕口』などのアドバイスを受けることもあるということで、ShopBotから新しいコミュニティが生まれることが珍しくないそうです。

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回転軸ユニットで作成したもの。製作物の中心に芯材データを作らないとモデリングができない構造。

 栗山町にShopBotが導入された場合、Fab施設運営とは別に様々なコミュニティに関わることができると考えます。一つは『匠まつり』。大工さんがイベントに向けて準備している材料製作をShopBotを使えば負担を減らすことができ、Fab施設として新しいワークショップの提案もできると思います。また、ファーマーズマルシェやクリエイターズマーケット用の什器製作、新設するFabスペースのDIYなど幅広い活動に関わることができると感じました。

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VUILDスタッフが参考にしている書籍。木工建築にはデジタルファブリケーションといえど昔ながらの技法の知識が必要だという。VUILDのデザインチームはこれらの技法をモデリングデータと組み合わせ建築している。

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トロテック・レーザー・ジャパンショールーム

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レーザー加工機メーカーを代表する『trotec(トロテック)』のショールームの施設見学では、北海道エリアを担当するヤマグチさんから様々な製作事例や二層版を使った加工デモ、現在国内でtrotec製のレーザーカッターを導入している施設のお話や使用方法の実例まで詳しく説明していただき、改めてレーザーカッターの奥深さを知ることができました。

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trotec加工サンプル。子供向けのワークショップにいいと思ったのが「勇者の剣」。MDFを重ね合わせて作られていたが意外と重くなくクオリティがかなり高かった。二風谷にあるウレシパで作られたアイヌ文様のサンプルもあった。特に「Back to the future」シリーズに出てきた「デロリアン」の模型が素晴らしかった。

 僕自身、 trotec製のレーザーカッターを使って4年近くなるのですが、今回ヤマグチさんのお話を聞いて特に興味深かったものをピックアップしてご紹介したいと思います。レーザーで加工したアクリルの断面に縦方向の傷がつくことがあります。これはレーザー光線の周波数に起因するもので『つるんとした断面』にするためには『①パワーを強くしてスピードを遅くし②周波数を20,000Hz以上に』すれば解決できるそうです(ただし燃えやすくなるので注意が必要とのこと)。また切断できる素材の目安として『1mm=10W、100mm=100W』という指標があるのですが、取り付けるレンズによっては60Wのレーザー加工機でも100mm厚のアクリル板が加工できます。レーザーカッター用のレンズは数種類あって栗山町にも2種類のレンズがあります。『1.5inch』レンズは普段実装されているレンズで、加工する素材との距離が近いので『彫刻加工』に向いています。『2.5inch』レンズは8mm以上の素材を『切断加工』するのに向いているため、出力パワーが多少満たないレーザー加工機でも厚物を加工することができます。またレンズキャップにも2種類ありそれぞれ『エアアシストの勢い(エアーの量は同じ)』が変わります。加工部分から出火しやすい素材にはノズルが長いレンズキャップを装着するのがポイントのようです。

 余談として「ハニカム台に付着したヤニを除去するには、市販されている『オキシクリーン』がオススメです」とヤマグチさんが仰っていました。

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レトロテックレーザー加工機が使えるFAB施設

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trotec加工サンプル アクリル二層版

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