【鎌倉研修日記 vol.16】

 昨年に引続きもう一つの研修場所であるTechShop Tokyoで受講した機材安全講習の様子をお伝えします。12月に北海道栗山町地域おこし協力隊の岡さんと土山さんのお二人は、金属加工、塗装、真空成形、金属旋盤、大型CNCの5つの機材安全講習を受講しています。百聞は一見にしかず、ではなく「一体験」をモットーにレポートが書かれております。

金属加工

ハンディツール(金工用)

ハンディツール(金工用) photo by TechShop Tokyo https://www.techshop.jp/equipment/260

ハンディーツールと卓上ツールを使って缶切りを作成する安全講習を受講しました。ディスクグラインダーは取り付ける砥石によって『研磨』『切断』ができる道具で、主に『研磨』目的で使用することが多いようです。組み当ててしまったテーブルの足などを修正するためや、薄い板の『切断』に使用すこともありますが、それに特化した工作機械ではないので制約が多いです。金属加工に限らず『研磨・切断』用途の工作機械を使うときは『キックバック』に細心の注意を払う必要があります。無理な体勢で加工しようとしたり、集中力がないときに作業するとすぐにケガに繋がる原因になってしまいます。また、金属加工時に出るバリの先は硬く鋭利なのですぐに指を切ってしまいます。(実際に切りました。想像よりスパッと深めに切れてしまうので怖いです。)ですが、加工部分が回転する機械が多いので、巻き込まれ防止のため金属加工室内の手袋の着用が認められていません。

ニブラ実践練習

ニブラ実践練習。ハンドツールの実習の中でニブラと呼ばれるあまり見かけないハンドツールを使用させてもらった。穴あけパンチのように穴をけることができる道具で、それを連続させてつなげていくことで、金属板を切り取ることができる仕組みになっている。

定盤とハイトゲージ

定盤とハイトゲージ。水平を出すための定盤とその上で正確にケガキするためのハイトゲージ。正確に高さを出し傷をつけてけがきする。運用上の注意点として定盤の意味を知らずに盤の上でものを叩く作業をする人間がよくいるがとても繊細な調整を施してあるのでそのようなことはしないようにとのことだった。

塗装

エアブラシ

エアブラシ photo by TechShop Tokyo https://www.techshop.jp/equipment/245

エアブラシを使ってアクリル板に塗装する講習になっている。TechShopでは2種類のエアブラシ『ダブルアクションタイプ』『トリガータイプ』を使用することができます。『ダブルアクションタイプ』は空気量を調節することができるので『広い面』『細かい部分』など塗装する部分によって使い分けできるのが特徴です。『トリガータイプ』は広い面を均一に塗装することができるのが特徴で、塗料が広範囲に噴射するので対象物から10〜15mmほど離して作業する必要があります。エアブラシは使い続けると芯材の針に塗料が付着し詰まってしまうので、洗浄液で清掃します。これは塗料の粘度が高いのが原因なので、原液1に対して薄め液2の割合で調合するのがおすすめのようです。牛乳みたいな滑らかさが指標のひとつです。(金や銀色の塗料は原液の粘度が低いので薄め液の量を少なめに混ぜるのがポイントです。最初1:2の割合で混合したところ塗料の粘度が低すぎて付着した塗料が垂れてしまいました。)

2種類のエアブラシ

2種類のエアブラシ。エアブラシの本体は2種類ある。右がトリガー式で広い範囲の塗装に向く。左がダブルアクション式でボタンを押し込んでから引いて塗装を行うので細かい調整がきく。どちらもエアコンプレッサーに接続して使用する。使用後の清掃を丁寧に行わないとすぐに不具合が出る。

塗装SBUの様子

塗装SBUの様子。揮発性の強い溶剤や塗料を扱うため、マスク、エプロン、ゴム手袋は必須。また紙コップなど、洗浄用の水や使い終わった塗料などを入れるために用意している。

塗装したアクリル

塗装したアクリル。エアブラシを使った塗装は、レーザーで加工したものと親和性もあり、商品やプロトタイプ製作用に設備を整えた方がいいと感じた

真空成形機

真空成型機

真空成型機 photo by TechShop Tokyo https://www.techshop.jp/equipment/238

TechShop内にある物を使って型を作成する構成になっています。真空成形機の仕組みは簡単で、ヒーターで熱した樹脂素材をコンプレッサーを使って吸着し用意した物に合ったパッケージや型が作れる工作機械です。しかし仕組みが簡単な分、成形物を作るのが難しく、一発でうまくいくことはほぼないということです。まず型に使用する素材によってヒーターで温める時間が変わります。例えばPET 1mmに対しては20秒、ABS1mmnに対しては40秒というような感じです。さらに原型に使用する物のサイズ(主に高さ)によっても温める時間が変動するので基準となるパラメーターが存在しないのが特徴です。原型に使用できるものは『300〜400℃』の温度に耐えられる素材であればなんでも大丈夫なのですが、毎回熱を加えているので素材によって劣化するスピードが異なります。(具体的には回数を重ねていくと原型が縮んだり、ひび割れたりするようです。)また土台に対して直角や鋭角のものは成形しづらく、推奨されているのは鈍角に3度ほど傾斜させることだそうです。そしてコップのような一部くぼみのある原型を使用する場合には直径1mmほどの空気穴を開け真空状態を作る必要があります。このように多くのテクニックと経験値が必要な機械ということがわかりました。

真空成形機の構成

真空成形機の構成。真空成型器はヒーター、エアコンプレッサー、昇降する台から構成されている。プラスチックの板を手前の四角い部分にセットし、奥にあるヒーターを手前にスライドさせ板を温め、昇降する台に乗せたアイテムを押し当て、コンプレッサーで真空を作り出し成形する流れになっている。

真空成形実例

真空成形実例。事前にプラスチックの板に印刷をしてから真空成型器を使用した例。左のように歪みが出るので、元々単純な縞模様だったものが隈取りのようになっている。右は歪みを計算して印刷した好例。

 

金属旋盤

旋盤(金属用)

旋盤(金属用) photo by TechShop Tokyo https://www.techshop.jp/equipment/252

アルミを加工してマグネットをつくっていきます。金属旋盤が栗山町にあったことから受講しましたが、扱えるようになるには時間がかなりかかると感じました。実際、マグネットを作成するのに一人40分ほどかかりました。TechShopで利用している会員は数名程しかいないそうで、彼らはオリジナルのロボット用にネジや治具などを制作しているということです。利用している層やその頻度からも、他の工作機械にくらべて扱いの難しさを感じました。講師のヒグチさんも『機械の仕組み自体は単純だけど、使い慣れるまでに時間はかかる』と仰っていました。制作したものはシンプルですが、金属の美しさなどを感じることができました。そこで『アクセサリーなどを作れますか』と質問したところ、基本的に流線形などを造形するのに向いていない構造なのでアクセサリーなどを作るのは難しい、ということでした。

マグネットホルダー

指導を受けながら作ったマグネットホルダー。直径20mmのアルミニウムの棒を20mmの長さに切ってそれを削り出し作ったマグネットホルダー。小さいが、穴あけ加工、溝加工、面取り加工など複数の加工を施して制作した。最後は後ろに写っているハンドプレス機でマグネットを穴に押し込み完成した。

ShopBot 3D

ShopBot

ShopBot photo by TechShop Tokyo https://www.techshop.jp/equipment/327

厚さ36mmの合板をハート形のモデルに両面3D加工していきます。SBUのマニュアルの中身と現在のソフトウェアの環境が違うことから加工方法を理解するのが少し大変でした。3D切削の場合、粗削り用のエンドミルと仕上げ用のエンドミルに加え、両面加工用のダボを取り付けるためのドリルを用意する必要があり、用途に合わせて取り換えるため作業フローが多くなります。そのため加工時間に合わせて準備時間もかかってくるので、プロジェクトを完成させるのに40分程度要しました。VUILDでみた展示作品もそうでしたが、木材をここまできれいに3D加工できるのは素直に感動します。

両面から削れるようにするための位置固定用ダボ

両面から削れるようにするための位置固定用ダボ。両面から削り出すにあたり、位置がずれないようにする必要がある。そのためにはダボ穴をあけ、そこに差し込めばずれないジグのようなものが必要になるのでそのためにダボを使用した。ダボを取り付けてある板は下の板にビスで固定してある。またダボでとめた木材もさらにビスで固定して作業を行うのが安全とのことだった。

hopBotが実際に切削している様子

ShopBotで木材を切削している様子。 表を既に切削してあるモノを裏から切削している場面。手前にうっすらではあるが貫通しはじめている。ただこの時は厚みの計算が1mmずれていたのと、固定した板傾いていたなどの理由から表面と裏面の間に薄い膜のような状態の板が残ってしまったので仕上げ削りの際に深めに削ることで修正を行なった。削り終わった時に加工物が落ちてしまうことのないように何本か支えるためのタブを用意しており、この画像でも確認できる。

 

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