【鎌倉研修日記 vol.24】

4回目の授業は、電子回路基板の制作となります。電子回路基板とは様々な電子部品を取り付けることで電子回路として成立し、何かしらの機能を実現している板のことです。FabAcademyではマイクロコントローラー(マイコン)やマイクロプロセッサーなどを取り付けて、自作したプログラムを入力し実行する電子基板を最終的に制作することになります。

授業動画 #4: 電子回路基板の制作方法 electronics production (video, review)

電子基板といっても様々ですが今回は最初なので、すでに設計されMITのサイト上に公開されているマイコンへのプログラム書き込み機の制作方法に倣って制作しました。書き込み機というのはどういうものかというと、新品のマイコンには当然プログラムは搭載されていないので、使用を開始する前に自分で必要なプログラムを書き込むことになります。その書き込みに使用されるのがこの機械で、今回はマイコンに書き込むためのプログラムを書き込むことになります。

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CNC切削加工機 Roland DG monoFab SRM20 

電子基板は様々な手法で作られますが、FabAcademyで主に行うのは切削しての制作方法です。コンピューターでコントロールするCNC切削加工機という機械を使い、ドリルのような形をしているエンドミルという刃物を動かして、プラスチックに銅箔が貼られた生基板を思い通りの形をした基板として削り出していきます。電子基板は電源からグラウンドまで電気が流れる回路になるように繋がっていなければなりません。逆に予定な部分が繋がっていると電子基板が動かない原因となります。なので余計な銅箔を削り落として電気が通る道を作ってあげるというのがこの作業です。

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2種類のエンドミル

CNCミリングマシンではエンドミルが付け替えられるようになっていて、道となる部分を削り出すにはより繊細な切削が可能な1/64インチの細いドリルが用いられ、板を好きな形に切り離す時には少し太めの1/32インチのエンドミルが使われます。これらのエンドミルを付け替えたり、削り始めの位置決めをすることがこの機械を使用する際の重要な準備となります。

 

また、この機械を動かすためには、機械自体の設定の他に、制御用のソフトウェアでの設定も必要になります。FabAcademyではmodsと呼ばれるMITで独自に開発されているソフトウェアを使い作業が行われます。このmodsは様々な機種の機械で使えることや、オンライン上で動作することから、オープンソースソフトウェアの理念を強く体現しているソフトウェアであると言えます。ただしその操作方法は少し癖があるので今回しっかりと覚えられるように努力しました。

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modsにてシミュレートされた工具経路図

これらの準備が終わったら、スタートボタンを押して実際の削り出しの工程になります。切削自体は全て機械が行なってくれるため、設定後は特に何かをする必要はなく待つだけとなります。しかし、設定を少しでも間違えていると銅版がしっかりと削れなかったり、ドリルが折れてしまったりしてしまうので、準備を非常に注意深くやらなくてはなりません。残念ながら私は今回の設定の最中にドリルを1本折ってしまいとても落ち込むこととなりました。細心の注意を払っていたにも関わらずその結果だったので、なかなか難しいものだなと思いました。

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切削している様子

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切削した基板

基板の削り出しに成功した後は、電子部品の取り付けに取り掛かります。今回は9種類の電子部品を使用しました。電子部品を取り付けるにははんだを使用し接着していきます。はんだは鉛とスズからなる合金で、比較的低い温度で溶けるため、基板と電子部品の接着部分にはんだごてで溶かしこみ結合させるのに使います。

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基板に取り付ける電子部品

はんだ付けの方法は主に2種類あり、一つは挿入実装と呼ばれ、基板にあいた穴に部品の脚(端子)の部分を差し込みはんだで固定します。もう一つは表面実装と呼ばれ、電子部品の端子を載せるための少し広めに残された銅の箇所(パッド)に部品を乗せ、はんだ付けしていく方法です。近年は電子部品も小型化しており表面実装が主流で挿入実装はある種時代遅れの技術であると講義では教わりました。なのでFabAcademyでは基本的に表面実装で基板を制作することになります。かなり細かい作業になるので苦戦しましたが、なんとか作業を終えることができました。取り付け後は計測器を使って回路の各所がしっかりと導通しているか確認をします。

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はんだ付けし終わった基板

確認後はいよいよ作った基板にプログラムの書き込みを行います。プログラムを書き込むには様々な準備が必要になります。まず、基板に乗せたマイコンに書き込むための環境を自分のパソコン上に必要になります。マイコンにプログラムを書き込むためにはいくつかのファイルやプログラムが必要になります。そうした必要なものをまとめたツールチェーンと呼ばれる仕組みがあるのでそれを用意したり、書き込み機を作るためには別に書き込み機が必要になるのでそのセッティングを行なったりします。プログラムを書き込むためのコマンドは非常に簡単なのですが、それにかかる準備が複雑で骨が折れる作業となっており、どこか基板切削と似ているなと思いました。

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プログラム書き込みのためのセットアップ

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自動書き込みを行うためのツール

一通り準備も終えて、いざプログラムの書き込みのコマンドを実行してみたところ、エラーが出てしまいました。パソコン上に表示されたエラーメッセージをみても原因がよくわからないため、他の受講生に確認したところ、同じようなエラーがでている人が大勢いたので、なんとなく安心しつつ、そのままではいれないので原因を探ることになりました。するとどうやら使用していたツールチェーンが古いものでうまくいかないことが多いらしいということが過去の受講生のドキュメンテーションからわかり、改めて別のツールチェーンをインストールし直して再度試してみました。しかし、またしてもうまくいかず、どうしたものかとぼんやり基板をみていた時にUSBに差し込む箇所に余計な銅が残っていて、そこを削ったところ今度はうまくいきました。こうして無事書き込みを終えて、なんとかこの週の課題を終えることができました。

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余分な銅を削り取る

電子回路の制作が入ってくると一気に難易度が上がるということは聞いていましたが、パソコン上のプログラムの問題と、実際の基板の部分の問題でエラーが起こりうる範囲が一気に広がり、難しさを実感することができた週となりました。

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USB機器としてPCに認識された

また、そんな中で一緒に講義を受けている仲間とインストラクターの方々が一緒になって考えてくれたおかげで解決策が見えてきたり、過去の受講生の知見がしっかりと記錄されていて、それによって解決策を見つけられたりもして、FabAcademyというシステムは学習の速度を加速させてくれるとても良い仕組みだなと感じました。

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