期間限定 ファブラボ山口 Part.1

今年に入り、鎌倉よりも山口にいることが多いゆうかです。その理由は、昨年から山口市より新しいものづくり施設を立ち上げるにあたり、ファブラボ鎌倉に協力頂きたいと相談を受けたためです。機材だけが注目されがちなのですが、一過性の体験ではなく実力をつけるFABプログラムが必要だと感じ、昨年から実践型のテクニカルなカリキュラムの構築を活動の基軸としていました。こうした想いが願ったのか、絶妙なタイミングで山口市から依頼を頂き、喜んで引き受けました。

今年の1-2月にかけて、山口市で今後ラボを運営していくような、やる気のある人を中上級者にするための人材育成プログラムなどを実施しています。そして、実証実験として2月14日から3月22日までのおよそ2ヶ月間、「期間限定ファブラボ山口」を試験的に立ち上げ、実際に鎌倉で行っている機材講習会を山口バージョンに改変していき、山口なりのオープンラボを行い、ニーズや要望をヒアリングしていきながら、現場で浮かびあがる課題を実体験をもって一緒に考えています。

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01 : ペーパーカッターでつくった入口サイン

舞台となっている場所は、山口市役所近くにある米屋町商店街内の元薬局があった空き店舗です。日本でもアーケード商店街にあるファブラボははじめて。山口市の大きな特徴として、FAB界隈の人が一目置く日本でもハイレベルな活動を展開する山口情報芸術センター(通称:YCAM)が徒歩20分ほどのところにあります。奇遇にも昨年、YCAMにお声がけいただき、RADLOCALというプログラムの講師をさせていただきました。ここでの参加者が、中上級者向けのトレーニングに参加し、現在ラボ運営に携わっています。人を育てようとする取り組みがバトンタッチされ、一続きのような心持ちになるから不思議です。さて、肝心のラボが入っている建物ですが、かなり長い間シャッターが下ろされ、ごみ屋敷のように荷物(宝物)があふれていました。リノベーションして綺麗になってオープン!! というのが普通かもしれませんが、そうした常識と違うのがファブラボ? リノベーションから関わったほうが、はるかに場づくりも含めて関わる参加者の意識が変わってきて面白いのです。山口でタッグを組んでいる若手ベンチャーのアワセルブスのみなさんとも、その点でも意気投合しています。山口市のみなさん、商店街組合の方々の理解もあり、モルタル打ちっぱなし、壁は下地の石膏ボードがむき出しのワイルドな空間に、3Dプリンタ、レーザーカッター、モデラなどのファブラボ推奨機材を設置して、期間限定ファブラボ山口がはじまりました。コンセプトは、「モノをデザインする商店街」3月22日までどんな動きになるのか楽しみです。

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02: レーザーカッターでつくった看板

関係者の方といつも話しているのは、ファブラボをやるからには最低3年やらないとその場所の可能性は見えてこないし、持続可能な活動になっていかない。継続するために何をどう考えていくべきなのか。その土地で、その人らしく、ちゃんと生きていくために、何をどう学び合い、新しい可能性を生業として成立させるか。そうした活動を加速させるために、どのような仕組みが必要なのか。つまり、やっていることは、ほとんど鎌倉と変わりません。

ファブラボ鎌倉が考える「ファブラボ」は、慈善事業でもボランティアでもなくて、新しい時代へのリテラシーやよりよい機会を得る為のあらゆる分野における投資です。 それが小学生でも90歳を過ぎていても、年齢問わず自分の可能性を拡げたい人に機会を与え、ベンチャーや企業にチャンスやプラットフォームとして機能させていくことに、意味があると感じています。山口では、関係者ともにこうした意識レベルでの共有をすることができ、私たちが大切にしていることもきちんと理解してくれているので、とてもスムーズにプロジェクトが進行しています。

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03: ファブラボ山口  内部の様子

行政がやるから得ることのできる地元からの信頼、地元に根をおろしているベンチャーだからできるスピード感、よそ者だから突拍子もないこともできる。そして、継続という視点において、地元の企業や大学との連携も忘れてはなりません。

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04 :  期間限定 ファブラボ山口の活動を紹介する映像をつくってくるとか (強力なサポーター登場!)

ファブラボの活動をやっていて、ときどき「まるでマッサージ師やお医者さんのようだな」と感じるときがあります。個人や地域、企業の凝っているところを見立てることからはじまります。その「見立て」に沿って、どこの部位に、エリアに刺激を与えると全体の循環が良くなるのか、ちゃんと機能するのかなど考えていきます。頭だけではだめですよね。なので実際に手や身体を動かしていく。なんでもそうですが、他力本願や一過性の強い薬に頼るのではなく、根本的に体質改善するためには?という視点で取り組んでいます。漢方薬や、食事、運動療法的な考えに近いのかもしれません。(笑)

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05 : 長い間使われなかったため開閉がうまくいかない入口のドアを、地元の方が直してくれることに

だからといって主観や感情論だけで話すのも説得力がないので、データとしてきちんと残すことも心がけています。エリア内でどれくらいの人材が、デジタルファブリケーション技術を学び、その数値が何%になったときに何がどう動きだすのか。活動を開始してから、どの程度の時間が必要なのか、その辺りを記録していきながら、「地域をほぐす」という行為を掘り下げていきたいと思います。

まだまだ始まったばかりの取りくみですが、現場はやはり学びの宝庫。

楽しくてなりません。

またご報告いたしますね!!

by youka

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