【鎌倉研修日記 vol.51】

本来であれば、8月ファブラボ国際会議のためにカナダに行く予定が、新型コロナの影響により中止となりました。その代わりに、国内外のFAB施設関係者からオンラインで運営者に話を聞くオンラインフィールドワークが開催されています。まずはじめに、鹿児島県南さつま市にあるダイナミックラボの方々にZoomを通してラボ運営についてのお話を伺いました。

ダイナミックラボ WEBサイト

代表のテンダーさんは活動の主軸を環境問題に起きつつも幅広いトピックに造詣が深く、他のファブラボにはない独特の視点と活動内容でラボ運営をされている方だなと感じました。どの活動もオリジナリティに溢れているのですが、同時にそのコンセプトは理路整然としていて信念に基づいているので見ている側としても受け入れやすい内容となっていて、ただただ脱帽するばかりでした。一番の良さは実際に計画して実行しているというところで、ラボのメンバーについても実際に行動を起こすことを求められていて、実際に現在在籍されている方々も自分でどんどん作業を進めているとのことでした。理想に近い集団を決して都会ではない場所で実際に運営されている方がいるんだと知ることができ、勝手ながら心強く感じ、今後ラボを運営していく上で大いに参考にさせていただきたいなと思いました。

ダイナミックラボ は、クラウドファンディングを活用して資金調達している。
2017年に行われたプロジェクトページに設立経緯なども書かれています。
画像:https://camp-fire.jp/projects/view/17356

ラボ運営に関する質問に丁寧に答えてくださってとても参考になりました。また私(岡)が一番気になっていた各プロジェクトの立て方やそれに対してのリサーチ手法についても目の前にある問題についてフォーカスすることが大切だという助言をいただき、プライマリーリサーチ(自身による直接の調査、研究)の重要性を改めて感じましたが、ダイナミックラボの活動内容を見る限りそこからのセカンダリーリサーチ(先人の調査、研究内容)による裏付けもきっちりと行われているんだろうなと思いました。

廃校を活用して作られたダイナミックラボ フロアマップ

コロナの影響で海外赴任ができないJICA隊員2名も、オンラインセッションに参加してくださり、ダイナミックラボはこれまでフィールドワークで訪問した関東圏内のFabLabとは全く異なり、ラボ運営者であるテンダーさんの生い立ちや思想をルーツに面白いプロジェクトがたくさん展開されています。また、北海道にFabLabを創設する上で改めてラボの存在意義やラボでできることを考えさせられるお話をたくさんしていただきました。特に土山が印象に残ったのはオープンソースエコロジーという海外のプロジェクト事例で、農民、エンジニア、建築家、支援者で構築されたネットワークが最終的にグローバル・ヴィレッジ・コンストラクション・セット(GVCS)を製造することを目的に活動しています。GVCSとは「現代的な快適さを備えた小さな文明を構築するために必要な50種類の産業機械を簡単に製造することを可能にするオープンな技術プラットフォーム」のことで、テンダーさん曰く「北海道の開拓スピリットにマッチした面白い選考事例」ということです。スケールが違いますね。

グローバル・ヴィレッジ・コンストラクション・セット(GVCS)

なお、ダイナミックラボ では、ファブラボ鎌倉でも取り組んでいるプレシャスプラスチックを積極的に進めています。シュレッダーの刃も自作してしまうとは、試行錯誤を繰り返しスキルアップして行く姿は、頼もしい限りです。

記事:安い!簡単!効率いい! precious plastic シュレッダーを大幅改良しました より

テンダーさんは活動(つくること)を通じて、次々に興味深いプロジェクトを立てて実行されているのが本当にすごいと感じており、引き続きダイナミックラボの活動を追っていきたいです。

こちらのblogを公開した後、オンライン研修を実施した時に準備中だったプロジェクトっも公開されたので追記致しました。プロダクト名は、KOYASSY(コヤッシー) 灰エンドモデルもテンダーさんの理念が感じられるプロジェクトもこちらに追加させていただきます。通常のコンポストトイレと何が違うのか? 見た目?親しみやすいネーミング?軽快な名前とは裏腹に、その性能や展開性はあなどれません。詳細はぜひ下記の記事をご覧ください。

生態系を育む。ヒトから窒素を回収する。「Koyassy(コヤッシー)灰エンドモデル」完成!